スタジオジブリで作られた大人気映画、『魔女の宅急便』。
『風の谷のナウシカ』、『となりのトトロ』を制作するも赤字。そこで最後の作品として挑んだのが『魔女の宅急便』でした。広告宣伝に力を入れたのが功を奏し、ジブリ初の興行収入は36.5億円となり、魔女の宅急便は大ヒットとなりました。
魔女の宅急便は、完全なるジブリのオリジナルではなく、原作の物語が存在します。
目次
魔女の宅急便とは?
1989年公開された『魔女の宅急便』。13歳のキキが、魔女の修行のため知らないうちに住み着き、様々な人との出会いを通じて成長していくストーリーです。
魔女のキキにはお話のできる相棒の黒猫ジジがいます。
荒井由美の「ルージュの伝言」「やさしさに包まれたなら」の楽曲が採用されています。
原作の物語が存在していた!
魔女の宅急便には原作の物語があります。児童文学の小説家、角野栄子さんが書いた「魔女の宅急便」が原作となっています。
魔女のキキが10歳から35歳になった姿が描かれていて、原作は6巻まであり、最初の1.2巻が映画化されたと言われています。
映画『魔女の宅急便』その後のあらすじ
『魔女の宅急便原作』3巻ではキキは16歳になり、そのもとへケケという12歳の女の子が転がりこんできます。自由奔放で小生意気なケケにふりまわされながらもキキは少しずつ変わっていきます。ふたりが反発しあいながらもお互いにとって大切なものをもとめて成長していく姿が描かれています。
4巻では17歳になったキキ。進学のために遠くの街にいったしまったトンボを想う気持ちが育っていきます。
5巻ではドレスデザイナーをしているサヤオと出会い仲良くなります。ある日、キキは魔力が弱まり、高く飛べなくなります。魔女である自分を見つめ直していきます。
6巻ではキキは35歳になっています。トンボと結婚して出来た双子ニニとトトが魔女の修行に旅立ちます。
原作者 角野栄子さんのプロフィール
24歳のときにブラジルに自主移民として行き、2年滞在。その後「ルイジンニョ少年 ブラジルを訪ねて」を執筆し、1970年ノンフィクション作家デビュー。
娘が書いた魔女の絵から着想を得て、魔女の宅急便が作られていきました。
2018年、児童文学のノーベル賞と呼ばれる国際アンデルセン賞作家賞しています。
現在85歳、インスタグラムもやっていて、もともとデザイン系のお仕事をしていたとか。とても生き生きしておしゃれなご婦人ですね。
「創作の上でこだわっていることはありますか」との質問に角野さんは、
「何でも魔法で叶えられるのは嘘くさくなる」「キキの魔法は一つだけ。ほうきで空を飛ぶことだけに限定しようと思った」「魔法が一つであれば壊れることもあるし飛べなくなることもある。それを13歳の女の子がどうやって工夫して乗り越えていくか」
このことこそが物語が面白くなるポイントだと創作秘話を語った。
映画化された上で、宮崎駿監督と数回対談が設けられたとのこと。原作者が激怒した!と噂になったのはここから推測されたのでしょうが、原作者が映画化に否定的になったのは間違いなさそうですね。
お話の筋がちょっと違うのでびっくりしました。私はもう少し可愛いラブストーリーになるかと思ってたんです。
角野栄子のインタビュー
原作との違いは4つあった!
https://twitter.com/fcbliebe1900/status/1243516668338483200?s=21
大まかな流れやストーリーに変更はないものの、ジブリの作り出した世界観と原作はいくつか違いがあります。
キキはロングヘアー
原作のキキはロングヘアーで黒いリボンを付けています。
しかし映画では短い髪で大きな赤いリボンです。作画の上で難しかったため、短くなったそうです。
トンボ、本名「コポリ」の性格
#これをみたフォロワーさんはアカウント名の由来を言う
— とんぼ㌠ (@tombow_SAN) March 25, 2020
魔女の宅急便に出てくるこのメガネ、主人公のキキから「とんぼさん」って呼ばれてるンすよねそれです pic.twitter.com/ymJVYa2ukh
原作では、飛行クラブで魔女のホウキを研究していた気の弱い少年。
しかし映画では、「明るくて頭もいいけどちょっと不良」を基に描かれた、当時モテると言われていた性格がトンボの性格になっています。
パーティの日も雨の中キキを待ち続け、その後謝ってきたキキに、「全然平気だよ!君こそ雨の中大変だったね」と相手のことを気遣える優しい少年。
黒猫のジジが話せなくなった
映画ではスランプに陥ったキキが、ジジと話せなくなってしまいます。映画の最後に飛べる力が戻っても、ジジは「ニャ~」というたけで話せないまま。
原作ではジジと話せるように戻ります。
飛行船の救出シーンはなかった
宮崎駿監督『魔女の宅急便』
— さすらいの用心棒 (@sasuraisanjuro) March 27, 2020
当初、監督を打診された片渕須直(『この世界の片隅に』)の案では、キキが難破船から人々を救うラストの予定だったが、宮崎から「この企画は通過儀礼がすべて」「アクションを伴う事件」は不要と一蹴されてしまう。その後、宮崎は鈴木Pの意向で飛行船遭難をラストに加えた。 pic.twitter.com/8Z5z7j47Tb
映画の魅せ場である飛行船からのトンボ救出シーン。このシーンに関しては完全にジブリのオリジナルで原作には一切出てきません。
救出の時、たまたま街の人に借りたデッキブラシで飛びますが、その後はキキに憧れてデッキブラシを持つ子供が登場しています。
森で出会った画家、実は・・・
原作ではキキとジジを描いた作品が入選するというものですが、映画ではお届け物を落とした際に森で画家と出会い、悩みを相談できる良き友達として出てきます。絵を描くことに没頭している19歳の画家の名前は「ウルスラ」。
実はこのウルスラ、キキと同じ声優さんが声を担当しているんです。
キキの声がなかなか決まらない時、ウルスラ役で決まっていた高山みなみさんがキキ役のオーディションも受け、役を勝ち取ったとか。声優の高山みなみさんが、一人二役を演じているなんて、すごすぎる!
「魔女の宅急便」では、キキ(主人公)とウルスラ(画家の少女)は同じ声優が一人で二役を担当した。
— 雑学探検記@博士とナナ (@hakasetonana) July 15, 2020
担当したのは「高山みなみ」で、「江戸川コナン」の声優としても有名。#雑学 pic.twitter.com/zSxljtIQ97
映画化されてから原作を読む人が増え、原作との違いはあるものの、色々なキキを受けいれてもらえた、色々な人が創るキキを見れ楽しかったと角野さんは考えているようです。
原作があり、映画があり、実写版もある魔女の宅急便。
わたしのキキはわたしの中にいるんだけど、宮崎さんのキキ、蜷川さんのキキ、清水さんのキキっていうのが、またそれぞれ違って面白いかな
シネマトゥデイ
ジブリは魔女の宅急便が1番好き pic.twitter.com/UwK8sLTl4y
— Daiki Yoshihara (@nextlevel_d6) October 14, 2020
原作者の角野栄子さんは初めてジブリの魔女の宅急便を見た時の印象を聞かれ、インタビューでこう答えていました。
「あれ?」と思いました。鈴木(敏夫)さんというプロデューサーが「宮崎駿という人は、あまり原作を使わないので有名だからね」って言うので、そのつもりでいましたけど、私は「タイトルと名前は変えないでください」「世界を変えないでください」とだけ申し上げたんです。だけど、お話の筋がちょっと違うのでびっくりしました。私はもう少し可愛いラブストーリーになるかと思ってたんです。映画を見てから原作を読む方がすごく多くて、それはそれでよかったと思います。
AERAdot
まとめ
【魔女の宅急便】
— ジブリ画像bot☆ (@ghibli_daisuki_) October 16, 2020
仕事の方も軌道にのって
少し自信がついたみたい
落ち込むこともあるけれど。。
私この町が好きです[キキ] pic.twitter.com/ld4vGj05gL
原作があり、映画があり、実写版もある魔女の宅急便。
原作者が激怒かは定かではないけれど、数回の対談を経たということは考え方の違いがあったのは本当のようですね。
映画ではスタジオジブリのオリジナルの飛行船からの救出シーンもあり、壮大なストーリーになっています。
映画をみてから角野さんの原作を読み、キキのその後の成長を見る人が多いようですね。思春期真っ只中のキキの成長が自分とリンクする人も多いのでは。
気分転換したい時、前向きになりたいときに是非観たい一本です。
魔女の宅急便に原作があったんですね。
やっぱり、キキととんぼは結ばれるんですね。良かった!
原作ではキキがロングヘア-なんですか。私たちはもうショートカットのキキに見慣れてしまっているので、オリジナルのロングヘア-の方が逆にしっくりこないですね笑
個人的にはショートカットの方が活発な感じがして好きですけど。