思い出のマーニー|謎多き人物といち(十一)は何者なのか探ってみた


2014年に公開された、米林宏昌監督によるスタジオ・ジブリ作品『思い出のマーニー』。

思い出のマーニー』の原作は、イギリスの作家、ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学作品です。

映画『思い出のマーニー』の舞台は、北海道の道東地方です。美しい景色がそのまま描写されていて観る人を惹きつけます。

https://twitter.com/b0iqqlqwkdj8q7t/status/1246076156014542852?s=21

思い出のマーニー』は喘息療養のため、ひと夏田舎町で過ごすことになった杏奈と、金髪の少女マーニーの不思議な交流が描かれています。

色々と謎の多い『思い出のマーニー』の中でも、「といち」という人物は一際ミステリアスな存在だったのではないでしょうか。

といち」とは一体何者なのか、探っていきたいと思います。

といち(十一)は何者なのか

といち」は、杏奈が田舎に行った際に出会った、髭を生やしたおじさんです。ボートで釣りをしたりして過ごしています。

といち」の特徴は、言葉を話さないことです。噂では口数が少ないため、10年に1度しかしゃべらないとも言われています。といちが話さないことで「だんまりといち」と、村の子供達から馬鹿にされるシーンがありましたね。

ちなみに「といち」は原作でも無口だそうですが、映画よりはセリフが多かったようです。

「といち」と杏奈の出会いを振り返ってみる

杏奈が湿っ池屋敷を初めて訪れた日、満潮になって帰れなくなり、困っていた杏奈を見つけて助けたのが「といち」でした。

といち」は喋ることなく、杏奈にボートに乗るように促し、岸まで乗せていってくれました。

心を閉ざしている杏奈が、寡黙で孤独な人生を送っている「といち」には普通に接しているのが印象的です。次の日も「といち」と杏奈がボートで過ごす場面も見られました。

療養先の大岩のおばちゃんが、「あのといちさんが女の子をボートに乗せるなんてね」と話しています。

輪の内側と外側の人間がいて、杏奈は人と上手くコミュニケーションがとれなくて、輪に入れない孤立した「外側」の人。

といち」も杏奈には似たものを感じたのでしょう。だから自然と杏奈をボートに乗せたのだと思います。



「といち」の名前の由来は悲しいものだった

イギリスが舞台である原作では、「といち」は十一番目の子供で、母親の「この子は余計(one too many)だった!」とのセリフから「one too many」→「Wuntermenny(ワンタメニー)」という英語の名前がついています。

思い出のマーニー』の映画では「といち」。漢字で書くと「十一」という名前です。原作で十一番目の子供だった事から、「十一(といち)」とそのままの意味の名前がついたそうです。

由来からみてもわかる通り、「といち」が無口で自分の殻に入ってしまったのは、昔母親や周りの人達から「余計な子」と思われ、可愛がられてなかったからとも考えられます。

ちなみに原作の「Wuntermenny」は一説によると、日本古来の名前「与一」が当てはまるのではないかとも言われていて、意味としては「十余る一」、「一つ余計」という意味として使われています。

といち」の名前の背景を知ると、悲しい気持ちになりますね…。

といちはマーニーのことを知っているのか

物語の最後に出てくる杏奈とさやかをボートに乗せている場面で、「マーニー。青い窓の向こうに閉じ込められた少女。昔の話だ」と「といち」が語っています。

杏奈とさやかとボートで話すといち

出典: Studio Ghibli

このセリフから「といち」がマーニーのことを知っていることは確かです。

しかし「といち」はただでさえ無口で出演シーンも少ない為、マーニーとどんな関係だったのか詳しいことがわかりません。

日記からマーニーと「といち」の関係がわかるか

マーニーの日記には、屋敷から見えた村の子供達の様子が書かれていました。

マーニーの日記にといちの事が書かれている

出典: Studio Ghibli

6月11日の ”マーニーの日記” によると、小さい男の子がいじめられて泣いているところを、マーニーが助けに入ったことが記されています。

この間の村の子供達がまた窓の下のところまで来ている。みんなで小さな男の子をからかっていた。その子が泣き出したので一人の子がお菓子をあげたら、泣き止んで食べた。でも、この子がお菓子の袋まで食べてしまったので、みんなはまたからかいはじめた。その子はぜんぜんいいかえさないの。なんだかとてもかわいそうだった。

といち」は11人兄弟の末っ子で、子供の頃からからかわれても言い返すことが出来ないおとなしい子。大人になった「といち」も、村の子供たちにからかわれた時言い返すことなく無反応だった事から、この泣いていた子が「といち」なのではないかという風に考えられます。

そして日記の内容から「といち」は、マーニーよりも少し年齢が小さい子供だったことが想像できます。

https://twitter.com/syokubashira/status/1330444157463228416?s=21

きっとマーニーはからかわれている男の子に対して、お姉さんのような感情が湧いたのかもしれませんね。

「花売りの子」がといちなのではないかという説

思い出のマーニー』に出てくるマーニーとダンスをする「花売りの子」が「といち」なのでは?という説があります。あくまで推測になり、事実は明らかになっていませんが…。

マーニーと杏奈が過ごす出来事は、昔祖母であるマーニーが話してくれた内容を元に、“杏奈の空想”として再現されています。

思い出のマーニー』の映画では、マーニーに連れられて杏奈が、屋敷のパーティーに花売りとして参加しました。

後に発見されるマーニーの日記には“花売りの子と一緒にダンスをした”と記されています。

https://twitter.com/kinro_ntv/status/1246059133259763712?s=21

もし相手が久子や和彦だったら、名前を書いている可能性が高いと思います。そこを「花売りの子」としているのは、マーニーも名前を知らない子だったからかな?それが「といち」なのでは…と考えました。

そしてマーニーと踊っている子は顔がよく見えませんでしたが、男の子っぽい描写になっていたので、子供の頃の「といち」が花売りの子だったとも想像出来ます。

しかしその後、ダンスをしたことがばぁやに見つかり、部屋に閉じ込められてしまうマーニー。

思い出のマーニー』の原作でもマーニーは、村の子供達と遊ぶのを禁じられていたようです。

きっと「といち」もそれからマーニーに会う事が出来なくなってしまったのでしょう。

といちはマーニーに恋心を抱いていたのか

杏奈を助けた時、どこからともなくボートで現れた「といち」。なぜあの屋敷の近くまで行っていたのか不思議ですよね。

きっと「といち」は昔から、窓の向こうに閉じ込められているマーニーに会いたくて、見に行くのが日課だったと思われます。そして大人になった今でもずっと湿っち屋敷に足を運んでいるので、たまたま湿地にいた杏奈に気付いて、助ける事が出来たのだと考えられます。

といち」は自分を助けてくれたマーニーに、淡い恋心を抱いていたのかもしれませんね。

といちの声を担当したのは誰?

といち」の声を担当したのは安田顕さんです。『思い出のマーニー』の声に携わったメンバーは豪華で、舞台となった北海道が生んだ大泉洋さんらTEAM NACSの5人も大活躍しています。

ちなみに子どもを除いたサブの男性の役はほとんどTEAM NACSの5人で、20役近くを演じ分けていたそうですよ。

https://twitter.com/kinro_ntv/status/885790628591714304?s=21

といち」のセリフは一言でしたが、といち役の安田顕さんは他の声もこなしていたのですね。

声に注目して誰かなと想像してみるのも、また楽しいですね♪

まとめ – 思い出のマーニーのといち(十一)は何者?

といち」という名前の由来は、『思い出のマーニー』の原作での名前「Wuntermenny」(ワンタメニー)からきています。映画でも原作の「十一人兄弟の末っ子」という設定と同じく、十一番目の子で「十一(といち)」という名前になりました。

「だんまりといち」と呼ばれるほど言葉を発しないのが特徴的なおじさん。「といち」は心を閉ざしている杏奈が自然体でいられる存在でした。

マーニーの日記をみると「といち」が幼少期にマーニーから助けてもらった過去があったようです。昔から「といち」はマーニーに会うため、湿っ地屋敷に足を運んでいたと考えられます。

無口でなかなか正体が掴めない「といち」。登場自体は少なかったのですが、マーニーを知る重要な位置付けになっていました。

思い出のマーニー』の登場人物一人一人にスポットを当ててみると、また違う物語が見えてきて何度も観たくなります。『思い出のマーニー』は、観た後もじわじわと余韻に浸れる映画ですよ。

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