『思い出のマーニー』|なぜ杏奈はサイロで「和彦」と呼ばれたのか


思い出のマーニー』は、第32回シカゴ子供映画祭の子供審査員アニメーション長編部門グランプリに輝いたスタジオジブリ作品。

https://twitter.com/wElcOmeD8376/status/703876930395721728?s=20&t=4DEQ6g9OM3sNUHrt-T96pQ

思い出のマーニー』の原作は、イギリスの作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学です。

主人公の杏奈は幼いころに両親を亡くし、ある出来事をきっかけに心を閉ざしてしまった12歳の少女。悪化する喘息の療養をする為、ひと夏田舎町で過ごすことになりました。療養先で金髪の少女マーニーと出会い、徐々に心の問題が癒されていくお話です。

杏奈とマーニーの交流を描かれている

出典: Studio Ghibli

思い出のマーニー』を観ていて不思議に思ったのがサイロのシーン。

マーニーがトラウマになっているサイロ

出典: Studio Ghibli

マーニーは杏奈に向かってどうして「和彦」と呼んだのでしょうか。なぜ突然「和彦」の名前が出てきたのでしょう?

謎が多いとされる『思い出のマーニー』のサイロのシーンを考察してみました。

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なぜマーニーはサイロが怖いのか

マーニーにとってサイロはとても怖い場所でした。マーニーは小さい頃から、湿っ地屋敷のお手伝いさんである「ばあや」と「ねえや」からいじめられていました。

「悪い子はサイロに閉じ込めて、お化けに魂を抜いてもらうぞ」と言われ、ずっと恐怖心を持っていたのです。

マーニーはねえや達から、無理矢理引きずられながらサイロに連れて行かれ、とても怖い経験をしたことを杏奈に話しています。

思い出のマーニー』の中でのサイロは、子どもの頃に怖かった場所の象徴なのでしょう。

サイロで和彦が出てくる場面を振り返ってみる

マーニーから辛かった時の話を聞いた杏奈は、サイロは怖い場所ではないことをマーニーに証明しようとして、マーニーと一緒にサイロに行くことにしました。

杏奈は困っているマーニーを苦しみから助けたかったのです。

しかしサイロに向かう途中、マーニーは杏奈に「あなたと一緒なら大丈夫。和彦」と言います。

和彦とはマーニーの幼馴染です。

サイロに一緒に行っているのは杏奈のはずなのに、マーニーの口から出たのは「和彦」という名前でした。

それを聞いた杏奈は足を止めてしまいます。しかしマーニーは先に丘の上のサイロに行ってしまいました。

そこに彩香がきて、杏奈に日記の切れ端を見つけたと伝えますが、マーニーのことが気になって仕方がない杏奈は「また今度ね」と言って、マーニーを追いかけてサイロに向かいます。

杏奈がサイロに着くと扉が開いていて、マーニーは見たことのない男物のコートを羽織って、隅っこで怯えていました。マーニーは杏奈が近づくとまた 「和彦」と呼んで、杏奈にしがみつきます。

「何を言ってるの。私は杏奈よ、しっかりして!」と杏奈がマーニーに言うと、マーニーは杏奈のことを思い出します。

豪雨で出られず、サイロの中でマーニーと身を寄せ合い、杏奈が目を閉じると子守唄が流れる回想シーンが始まります。

https://twitter.com/kinro_ntv/status/1613892353869369344?s=20&t=V4cR8CHYNFf-lH–xGxtJg

祖母マーニーが杏奈に「そうやって一晩中サイロの中にいたの。私は怖くてたまらなかった。そこへおじいさんが来たの。よーく頑張ったと励ましてくれた」と話します。

回想シーンが終わった後に、和彦がマーニーを迎えに来ました。そしてマーニーが和彦と共にサイロを出ていくシーンで杏奈は目を覚まします。杏奈はマーニーに置いていかれたとショックを受けます。

思い出のマーニー』のサイロのシーンで、和彦が出てくるのはここまでです。

マーニーの日記には和彦の事が書かれているのか

マーニーの日記には、和彦サイロを怖がるマーニーをからかい、連れて行こうとしているという事が記されています。

和彦があたしをサイロにつれて行こうとしている。あたしはぜったいに行かない。あの人があのことであたしをからかうのをやめてくれればいいのに…

マーニーの日記より

それからマーニーはトラウマを克服するため、サイロに行ったのでしょう。しかし嵐でサイロから出られなくなり、怖がって泣いていたマーニー。そこに「和彦」が助けに来てくれたことで、マーニーは「和彦」に対し、恋心を抱いたのではないでしょうか。

彩香が見つけたマーニーの日記で破られているページには、幼馴染の「和彦」のことばかりが書かれていました。ばあや達に見られないよう、マーニー本人が和彦とのページを破ったのかなと思いました。

日記には「和彦」と過ごした楽しいエピソードが書かれています。後に久子さんの話から“マーニーはいつも支えてくれていた和彦さんと結婚した”ということがわかります。

マーニーが杏奈を「和彦」と呼んだのは何故か

マーニーが杏奈を「和彦」と呼んだのは、マーニーは「妄想」であり「記憶」であることに杏奈自身が気づき始めているからだと考えられます。それは杏奈が強くなって、現実世界で生きていける力を身に付けてきたことの現れだと思います。

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マーニーの正体は、杏奈の祖母。杏奈も話しているように、マーニーは「空想の中の女の子」です。

杏奈は小さい頃に聞いていた祖母マーニーの思い出話を、無意識のうちに「追体験」していたのでしょう。

幼い杏奈に語りかける祖母マーニー

出典: Studio Ghibli

時々場面が変わるのは、祖母マーニーから話してもらった事以外は、杏奈が想像できないからだと考えられます。杏奈はマーニーがサイロに行った話を聞いてはいましたが、サイロに行った後どうなったか…というのは聞いていませんでした。

知らない事実を杏奈の頭の中で再現する事は難しいので、所々マーニーが消えてしまうのです。

サイロでの出来事は、マーニーと和彦が体験したことなので、マーニーは杏奈のことを「和彦」と呼んでいました。

目を覚ました時、杏奈は置いていかれたと思っていましたが、マーニーからすると杏奈はその時いなかったのです。杏奈に1人にしたことを責められたマーニーは「そんなつもりじゃなかった。だって、あの時、あなたはあそこにいなかったのだもの」と話していますね。

「空想」と「現実」がかなり入り混じっている場面でした。

まとめ – 「思い出のマーニー」サイロで和彦と呼ばれた理由

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思い出のマーニー』で、マーニーがサイロで杏奈を「和彦」と呼んだ理由は、サイロでの出来事は実際にマーニーと和彦が体験した出来事だったからです。

杏奈は祖母マーニーから聞いた話以外は再現が難しいので、所々マーニーが消えてしまったりするのです。

思い出のマーニー』は、一度観ただけでは理解しづらく、何でだろう?と思ってしまうところが多々ありますね。

サイロのトラウマからマーニーを助けたいという気持ちが芽生えた杏奈は、一緒にサイロに行こうと声をかけます。この場面からも力強い杏奈の心の成長が見られます。

マーニーは杏奈の空想の女の子。杏奈が「現実」ではないことに気づき始めたのは、マーニーの存在がなくても生きていけるようになったということの現れなのだと思いました。『思い出のマーニー』は、思春期の少女の繊細な心の移り変わりを、空の色や音楽など映像全体で表現している素晴らしい作品です。

 

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