紅の豚|魔法なのか?なぜポルコは豚になったのか考察してみた


カッコイイとは、こういうことさ

男のロマン。『紅の豚』は宮崎駿が原作、脚本、監督を務めて、飛行機大好きな宮崎駿監督の想いが詰まった、大人が楽しめるアニメーション映画です。

紅の豚の時代背景

物語の舞台は1920年代、第一次世界大戦後の経済不安定のイタリア、アドリア海。ムッソリーニのファシスト党の独裁下の物語で、時代が比較的忠実に描かれていて、政治色が見え隠れする設定も盛り込まれ、複雑な大人の映画になっています。

紅の豚の主な登場人物

マルコ・パゴット(ポルコ)

主人公はポルコと呼ばれるの姿をした飛行艇乗り、36歳。本名マルコ・パゴットは魔法により豚の姿になった元軍人でかつて部隊のエースパイロットとして活躍した後、今は賞金稼ぎの男。「戦争ではないから殺しはしない」という信念を持った行動を取っています。porco rosso(ポルコ・ロッソ)はイタリア語で「臆病者」「豚野郎」の意味があります。硬派な男らしい名言をたくさん残しています。

マダム・ジーナ

マダム・ジーナと呼ばれる女性は、ホテル・アドリアーノを経営しているポルコの幼馴染み。ジーナの船にはアルゼンチンの国旗があることからアルゼンチン系の人間という設定があります。三度結婚し、死別しています。ポルコの人間の時の姿を知っていて、「マルコ」と本名で呼んでいます。密かにマルコを愛している女性。

ドナルド・カーチス

カーチスはアメリカ人の飛行機乗り。ポルコを敵とする空賊連合が雇った用心棒です。

惚れやすい性格で、ジーナやフィオを口説いては玉砕。大統領になる、ハリウッドの大スターになるなど豪語しています。ポルコには「アメリカ野郎」と呼ばれています。飛行機の腕はポルコが認めるほどの実力の持ち主です。

https://twitter.com/kinro_ntv/status/1058353746919354369?s=21

フィオ・ピッコロ

17歳の女の子、飛行機設計技師のフィオ・ピッコロ。非常に男勝りで勝気な性格で、ポルコと行動を共にします。マルコに好意を寄せています。

そしてフィオのおじいさんであるピッコロのおやじ、ポルコの過去を知る空中海賊マンマユートのボスなどが出てきます。

https://twitter.com/kannabi_mikoto/status/1058352483460820994?s=21

ポルコとカーチスの飛行機は実在するのか

ポルコの赤い飛行機は「サボイアS‐21」、マッキM.33というレース用の航空機をモデルにしています。

カーチスの紺の飛行機は「カーチスR3C-0」は同じくレースで使用される水上航空機です。

ポルコとカーチスの飛行機はどちらも実在した飛行艇でした。どちらもほんの一時期に活躍した幻の戦闘機械だったようで、そこに目をつけたとは戦闘機好きの宮崎駿監督らしい視点ですね。

紅の豚に原作はあるの?

紅の豚』の原作は、モデルグラフィックス誌に掲載されていた宮崎駿監督の短編漫画「飛行艇時代」です。もともと15分の短編作品の予定が90分となり完成しました。それまでは『となりのトトロ』、『風の谷のナウシカ』、『魔女の宅急便』などファミリー向けのアニメーションだったけれど、『紅の豚』は宮崎駿監督の飛行機への愛が詰まった中年向けの男のロマンの映画。





生家が航空機産業に関係していたため、幼い頃から空を飛ぶことに憧れていた宮崎が、自分の夢として描いた作品である。宮崎自身がその演出覚書において、「疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のためのマンガ映画」にしたいと記している。

wikipediaより引用

ポルコは宮崎駿監督自身を投影したものと言われています。宮崎駿監督はたひたび自画像をとして描いています。

飛行機や兵器への憧れがあっても戦争は否定しています。

『天空の城ラピュタ』にも登場した空賊を、今回の『紅の豚』でも悪党だが、陽気でどこか親しみやすいキャラクターとして描いています。



飛行艇乗りたちについて、宮崎駿監督はこう表現しています。

船乗りよりも勇敢で、陸の飛行機乗りより誇り高い

飛行機についての映画は、『紅の豚』の他に、『風立ちぬ』でも描いています。主人公を人間で描くことで利害関係があり世俗にまみれ、純粋さを失くした印象になっていますが、で描くことにより明るく純粋な印象を受けます。ポルコは宮崎駿監督の憧れや理想の姿なのかもしれませんね。

ポルコは豚のまま最後まで生きていくほうが本当に男らしいと思う

ポルコはなぜ豚なのか?

紅の豚』のパンフレットの前書きに書かれています。

迫り来る新たな戦争を前に再び国家の英雄になることを拒み、自分で自分に魔法をかけてブタになってしまいます。

鈴木敏夫プロデューサーが宮崎駿監督になぜ豚なのか理由を聞いたら、

何で豚なんでしょうね

と答えたそうです。それからスタッフに質問して、ポルコが自分で自分に魔法をかけたとの設定ができあがったとのことです。

にした理由を語っても、なぜポルコになったのかを語る事はありません。

作中でジーナが「魔法」といったことから、ポルコが自分で魔法をかけたなら、動機は何があるでしょうか。

ジーナの店に貼ってある人間の姿のポルコの写真を黒く塗りつぶすほどに嫌っていることから、戦友が次々に亡くなり、1人残った自分への罰、罪悪感のためからとも言われています。

世界恐慌の波がヨーロッパに押し寄せ、それにより国家や戦争のために働かなければならなくなっていることを、ポルコは嫌がっています。世俗にまみれず自由に生きたいという想いから自らをの姿に変えたのかもしれません。

または飛行艇乗りの夫を何人も亡くしたジーナへの配慮。「もう涙も枯れちゃったわ」というジーナと、の姿なら恋仲にならず、もう悲しませる事はさせないと考えていたのかもしれません。

どれも推測であり本当の理由を宮崎駿監督も語っていません。

自分なりに考察してみるのも楽しいですね。

作中でポルコが人間に戻ったようにみえるシーンがありますが、戦争の中で他者との繋がりを思い出した時や、普段一線を引いているポルコと他人との距離感が乱れたときです。愛する人のために戦ったときとも捉えられます。ポルコが本当に人を愛した時、初めて魔法が解け人間の姿に戻れるのかもしれませんね。

「どうすればあなたの魔法が解けるのかしら」

ジーナのセリフ

まとめ

紅の豚』の主人公ポルコは、世俗にまみれず自由に生きたいと願い、戦うときも国家同士の戦いでなく一個人としての戦うため反戦の姿勢を感じられます。

「飛べない豚は、ただの豚さ」

「馬鹿野郎!そういうのは1番大事な時にとっとけ!」

とビシっと決めたポルコの名言。

紅の豚』は男のロマン溢れるセリフが多く、冒険心を掻き立ててくれます。少年の心を持った男達を、大人びた女性達が見守っています。

宮崎駿監督の空に対する憧れを、飛行艇乗りや空賊で陽気に描いています。このロマン溢れた軽快な映画の裏に隠された反戦主義の心など、色んな見方をできる映画になっています。



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